コラム5


2022年4月

みなさん、こんにちは。林薫です。

 世界中が不穏な空気に包まれているものの、ここ、葡萄の木に関しては、令和3年度を何事もなく終了して、新たな年度を迎える準備に追われています。

 そして、コラムに何度か登場している、うちの長男は、来月、自宅を出て行くそうです。

 まず、「裕福な家庭ではない」という事実があり、そこへ来て、自宅から一番近隣の大学へところてんが押し出されてそのままツル~ッて器に収まるようにして進学したにも関わらず、どうしても、家を出たいということで、もう4月に新居を決めて、手付金払い込み済み。彼曰く「一人暮らし」がしたいのではなく「この家から出たい」だけだそうで。

 やっぱり、自宅に個室がないっていうことは、大変な原動力となっているようです。私自身も、市営育ちで個室がなく、大学は名古屋から豊橋の愛知大学だったので、とりあえず、一年は自宅から通って、2年生から晴れて豊橋で一人暮らしをした経験を持っているので、なんでこうも自分と一緒なんだろうか?と不思議に思ってしまいます。そして、最近、私の一個下の妹が、「そういえば、あなたのお母さんも全部決まってから報告してたっけ。」っといらんことを言うものだから、本人すっかりいい気になっちゃって・・・。でも、私は、「そうだったっけ?」って全然記憶がないのです。

 今思うと、私は妹と2人姉妹で、年子の割に姉の存在が母より大きく、言うことを聞かないと持っているサイダーだろうが、何だろうが頭からぶっかけるぐらい、ヒットラーばりの暴君で、それだから仲が悪いかというと、恐らく今でも相当お互いに頼り合っている存在で、当時、豊橋の一人暮らしの私の部屋に半年くらい転がりこんでもきたくらいの関係なのです。

 あの小狭い6畳の和室も早く家を出たい原動力だったんだろうけど、今となってみるといい思い出となっています。

 だから、家が狭いとか、ましてや個室がないとか、どうでもいいのです。

 でも、息子君にとってはとても耐えがたかったそうです。

 どこに一人暮らしするのかって?

 それこそ、檸檬の木の拠点のすぐそこ…ビビるよ。近すぎて。屋根とか檸檬のベランダから見える感じだし。

 もう笑ってしまいますよ。家賃は3万円。風呂とトイレはセパレートの1K。でも、いまは、ジモティとか何とかで何にも買わないで済ませることができるらしい。

 ただ、大きめのソファーだけは、部屋を決める前からもう予約してあるっていうのを聞いてまたびっくり。部屋を決める前からっていうのが「おまえはあほか」って感じなんだけど、何って、私も部屋に一番最初に自分で買った大物は大きめの籐のソファーだったの!

 さらにいうと、今でも現役で使っている家の南部鉄板の焼き肉用のホットプレート、油が下に落ちるやつをみて「それ絶対欲しいんだよねえ、俺。」って言われた日にゃあ、たまげたさ。

 だって、私が一人暮らし決定した時に自分で東急ハンズで買った記念すべき第一号家電なのだから!

 現役なんだけど、譲ってあげようかしら・・・27年物ですよ。

 そこへ来て発覚したのが、ひどいアトピーみたいになってしまった全身かゆそうな湿疹。

 まあ、お金を貯めるために、バイトバイトに明け暮れて、家にほとんどおらず、親としては食に関してノーマークですよ。一人サラリーマンみたいにスーツ着た人が何故か朝早く出て行って、夜遅く帰って来だしたのを笑っていたんだけど、笑い事じゃなかった!

 からだがボロボロになっちゃってて。ちょっと、ちょっと、こんな風で一人暮らしできるの?ってさすがの私も不安になってしましました。自腹で素直に病院へいき、今は薬づけですが・・・やっぱり、菓子パンやレトルトだとてきめんに体にでる人だったことを今更思い出しております。

 自宅にいれば、食事はあるし、家の前に停まってる車(白の軽のワンボックス、ポンコツ)も、同じくポンコツスーパーカブも、使おうと思えば使えて便利だろうに、それよりも家を出たいんだなあって、最近ず~っと思っていると言えば、思っているかもしれない。でも、それほどさみしいとかはないっていうのが本音です。

 そして、今日大高イオンで、CDのワゴンセールで見つけた。知ってるかなあ?河島英五って歌手。もう亡くなってるけど。その人のCDがあって、私は大好きなのです。「野風贈」とか「酒と泪と男と女」とか。っていってわかる人いないかもねえ・・・。

 で、それを買って帰ってきて、長男君のために、野菜中心のおかずを作りながら聞きますよねえ、もちろんキッチンドリンカーですよ、私は。で、いい気分でご飯を作りながら、流れてきたのが「家を出て行く息子がいる 引き止めようとする母親がいる どちらも愛してるどちらも恨んでいる どちらも泣いている」っていう歌詞・・・。聞きながら、怒濤のごとく泪が溢れたことは言うまでもありません。そうだなあ、恨んでるかもなあ・・・ってね。

 題名は「てんびんばかり」

 みんな、めっちゃいい曲だよ!これ読んだ人、是非聞いてみて!なかなか、社会派なシュールな歌詞で、さすがに泣きはせんだろうけど、きっといいなあって思うと思うよ。

 最後は、この曲の最後のフレーズでこのコラムの締めとさせていただきます。は~河島英五、最高!

 「てんびんばかりは重たい方に傾くにきまっているじゃないかい どちらももう一方より重たいくせにどちらへも傾かないなんておかしいよ」